在留資格「技術・人文知識・国際業務」でできる仕事を徹底解説!

下在留資格「技術・人文知識・国際業務」は、外国人が日本でホワイトカラーの専門職に従事する際に必要とされる代表的な就労ビザの一つです。

ITエンジニアや通訳、マーケティング担当など幅広い職種が対象となる一方で、「具体的にどこまでの仕事が認められるのか」「実際の業務とのズレはないか」など、企業・本人ともに悩みやすいポイントも存在します。

そこで本記事では、申請時に押さえるべき要件から実際に認められている仕事内容まで、網羅的にわかりやすく解説します。

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「技術・人文知識・国際業務」とは?

「技術・人文知識・国際業務」とは?

在留資格「技術・人文知識・国際業務(通称:技人国)」は、外国人が日本でホワイトカラーの専門職に従事する際に必要となる代表的な就労ビザです。技人国の特徴は、「専門性」と「業務との関連性」が厳しく審査される点にあります。

大学や専門学校での専攻と従事予定の職務内容が一致していること、あるいは10年以上の職務経験があることなどが要件となっており、単純労働やアルバイト的な業務では取得できません。

また、企業側にも日本人と同等以上の待遇を提供する義務が課されており、雇用契約書や職務内容説明書などの書類を通じてその適正さを証明する必要があります。

在留期間は申請内容に応じて「5年・3年・1年・3か月」のいずれかで認定され、要件を満たせば配偶者や子どもの帯同も可能です。日本での長期的かつ安定した生活基盤を築きたい外国人にとって、技人国は非常に重要な在留資格といえます。

在留資格「技術・人文知識・国際業務」とは?必要申請書類や取得要件を解説

「技術・人文知識・国際業務」の必要要件

「技術・人文知識・国際業務」の必要要件

在留資格「技術・人文知識・国際業務」は、項目ごとに就職・転職するための要件が定められています。

ここでは、項目別に就職・転職に必要な要件を解説します。

  • 「技術」分野
  • 「人文知識」分野
  • 国際業務」分野

「技術」分野

「技術」分野で在留資格を取得するためには、まず学歴要件を満たす必要があります。原則として、日本国内または母国にある大学や短大、大学院を卒業し「学士以上の学位」を取得していることが求められますが、国内の専門学校卒業者(専門士の称号取得者)も対象になります。

一方で、海外の専門学校卒業は認められません。また、学歴要件を満たさない場合でも、10年以上の実務経験があれば「技術」分野としての要件をクリア可能です。

根拠となる入管法の条文は以下の通りです。

一 申請人が自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務に従事しようとする場合は、従事しようとする業務について、次のいずれかに該当し、これに必要な技術又は知識を修得していること。ただし、申請人が情報処理に関する技術又は知識を要する業務に従事しようとする場合で、法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する試験に合格し又は法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する資格を有しているときは、この限りでない。
イ 当該技術若しくは知識に関連する科目を専攻して大学を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けたこと。
ロ 当該技術又は知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了(当該修了に関し法務大臣が告示をもって定める要件に該当する場合に限る。)したこと。
ハ 十年以上の実務経験(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程又は専修学校の専門課程において当該技術又は知識に関連する科目を専攻した期間を含む。)を有すること。

出典:出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令 | e-Gov 法令検索

「技術」分野で就業可能と認定される学部の一例は以下の通りです。

建築学|数理科学|物理科学|化学|生物科学|地質科学|地理学|統計学|情報学|基礎工学|応用物理学|機械工学|電気工学|電子工学|情報工学|土木工学|金属工学||応用化学|造船学|計測・制御工学|化学工学|航空宇宙工学|原子力工学|経営工学|農学|農芸化学|社会医学|病理科学|歯科学|薬科学など

上記の学部以外でも認められる場合がありますので、詳しくは出入国管理庁にお問い合わせください。

「人文知識」分野

「人文知識」分野も、求められる要件は「技術」分野と同じく以下の通りです。

  1. 日本国内または母国にある大学や短大、大学院を卒業し「学士以上の学位」を取得していることが求められますが、国内の専門学校卒業者(専門士の称号取得者)も対象
  2. 10年以上の実務経験

「人文知識」分野で就業可能と認定される学部の一例は以下の通りです。

会計学|語学|文学|哲学|教育学(体育学を含む)|心理学|社会学|歴史学|地域研究|基礎法学|公法学|国際関係法学|民事法学|刑事法学|社会法学|政治学|経済理論|経済政策 |国際経済|経済史|財政学・金融論|商学|経営学|経済統計学など

上記の学部以外でも認められる場合がありますので、詳しくは出入国管理庁にお問い合わせください。

「国際業務」分野

「国際業務」分野で在留資格を取得するには、まず学歴要件または実務経験要件のいずれかを満たす必要があります。大学卒(学士以上)であれば基本的に要件を満たしますが、学歴がない場合でも、「国際業務」に関連する業務を3年以上経験していれば認められるケースがあります。

以下の入管法の条文にあるように、「技術」および「人文知識」とは異なり、明確に学部と職種の関係性は明示されていないのが特徴です。

二 申請人が外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事しようとする場合は、次のいずれにも該当していること。
イ 翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事すること。
ロ 従事しようとする業務に関連する業務について三年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は、この限りでない。

出典:出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令 | e-Gov 法令検索

ただ、実態としては一定水準以上の日本語能力を求められるため、国内の大学・短大などを卒業しているか、日本語検定試験に合格して資格を保有するケースが大半です。

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在留資格「技術」でできる仕事

在留資格「技術」でできる仕事

在留資格「技術」でできる仕事の一例は以下の通りです。

ここでは、下記の仕事について解説します。

  • システムエンジニア
  • 航空機整備エンジニア
  • ソフトウェア開発エンジニア(プログラマー)
  • CAD設計オペレーター
  • ゲーム開発エンジニア
  • 精密機器エンジニア

システムエンジニア

システムエンジニア(SE)は、単なるプログラマーとは異なり、顧客の要望を踏まえてシステムの要件を整理し、設計を行い、プロジェクト全体を進行させる役割を担います。

おもな業務内容は以下の通りです。

  1. 顧客との打ち合わせを通じた要件定義の策定
  2. 仕様書や設計書の作成
  3. システム完成後のテスト・検証業務
  4. 保守・運用業務
  5. 開発チームとの調整や進捗管理 など

特に、論理的思考力やコミュニケーション能力が求められることから、上流工程に携わる専門性の高いポジションの一つです。

航空機整備エンジニア

航空機エンジニアは航空宇宙工学など自然科学の専門知識を活かす高度な技術職であり、飛行機の安全運航を裏から支える重要な役割を担っています。

仕事内容は大きく分けて以下の3つです。

仕事内容 概要
設計・開発 航空機の機体やエンジン、電子システムなどの設計を行い、新しい航空機や改良機の開発を行う
実験・評価 航空機や部品を実際に試験し、設計通りの性能が発揮されるかを検証する
生産技術 設計された航空機を効率的かつ高品質に製造するための生産プロセスを構築する

航空機エンジニアに従事するためには、航空工学への専門的な知識に加えてCADを扱うスキルや英語力なども求められます。

ソフトウェア開発エンジニア(プログラマー)

ソフトウェア開発エンジニア(プログラマー)は、スマホやPCのアプリケーション、組み込み機器の制御ソフトなど、多岐にわたるシステムやプログラムの設計・開発を行います。業務内容としては、企画段階での要件の理解、アルゴリズム設計、コーディング、動作テストに至るまで、一連の開発プロセスに関与する役割を担うのが一般的です。

実際にプログラマーとして従事するためには、日常的なプログラミング作業に加え、動作検証やバグ修正、パフォーマンス向上のための最適化などの工程にも対応し、修正の際にはロジックの理解と工夫が必要です。さらに、プロジェクトの一部として設計書や仕様書を読み書きしながら、上流工程に関わるシステムエンジニアと密に連携するケースもあります。

CAD設計オペレーター

CAD設計オペレーターは、設計士やエンジニアが手描きや口頭で示したアイデア・ラフを、CADソフトを用いて図面化し、製図データとして完成させる専門職です。2D・3Dの設計業務に対応し、AutoCAD、Jw_cad、Vectorworksなど多種多様なソフトが使用されます。

CAD設計オペレーターが従事する業界は、建設・機械・電子部品・アパレルなど多種多様なのも特徴的です。CAD設計オペレーターには、単なるCAD操作のスピードよりも、設計者の意図を正確に読み取る理解力と、緻密な作業を安定して遂行する集中力が重視されます。

特に建築・土木分野では、法規制や構造基準を踏まえた図面の作成スキルが求められます。

ゲーム開発エンジニア

ゲーム開発エンジニアは、ゲーム制作におけるプログラミングやシステム設計を担う専門職です。

ゲーム開発エンジニアのおもな業務内容は以下の通りです。

業務内容 概要
制作 ・企画段階で定義された仕様をもとにゲームシステムを設計し、キャラクターの挙動や人工知能の制御、物理シミュレーション、UIなどをプログラミングによって実装

・特にオンライン要素が含まれるゲームの開発の場合、マルチプレイ機能やサーバーとの通信処理、課金システムの組み込みなどネットワークに関わる部分も担当する

テスト・デバッグ 不具合を修正するだけでなく、動作の快適さや処理速度を高めるための最適化も行う

また、ゲーム開発エンジニアは専門分野ごとに役割が分かれることもあり、グラフィックプログラマーは3D描画やエフェクトなど視覚表現を扱い、サウンドプログラマーはBGMや効果音の制御に特化します。

必要とされるスキルとしては、C++やC#といったプログラミング言語の習熟、データ構造やアルゴリズムへの理解、そしてチーム内外との円滑なコミュニケーション能力が挙げられます。

精密機器エンジニア

精密機器エンジニアは、精密測定機器・光学機器・医療機器など、高い精度が要求される機器の設計・開発・製造プロセスにおける高度な技術業務に従事する専門職です。仕事内容は製品開発の上流部分にある企画・構想設計から始まり、基本設計・詳細設計、そして生産設計まで、幅広く対応します。

一方で、生産技術に関わる場合は、設計内容を確実かつ効率的に量産するための加工工程設計や組立ラインの設計、工程管理などの実務的な技術力が求められます。製造現場で発生する品質トラブルの原因分析や改善策立案にまで関わることも多く、生産全体を見渡す視野と確かな技術的裏付けが不可欠です。

精密機械エンジニアにはCAD、CAE操作、精密機器知識、製造プロセス理解、ソフトウェア知識などの知識が専門的かつ広範に求められます。

在留資格「人文知識」でできる仕事

在留資格「人文知識」でできる仕事

在留資格「人文知識」でできる仕事の一例は以下の通りです。

ここでは、下記の仕事について解説します。

  • 経理担当
  • 総務担当
  • 法人営業
  • 金融業務担当者
  • 法務担当
  • 経営コンサルタント
  • 人事担当

経理担当

経理業務は、企業におけるお金の流れと取引を記録・管理し、経営の意思決定を支える役割を担う専門職です。経理では、業務が日次・月次・年次に分類され、以下のようにそれぞれ実施する内容が異なります。

分類 業務内容
日次 ・現金・預金の動きの確認

・伝票の発行

・システム入力

・在庫や与信の管理 など

月次 ・売掛金、買掛金の管理

・請求書発行

・支払処理

・給与計算

・月次決算 など

年次 ・年次決算

・税務申告

・年末調整

・有価証券報告書の作成 など

上記の業務内容に従事するために、経理では経営学・商学・会計学などに対する知識が必要です。

さらに、近年では会計ソフトやクラウド会計、AIやRPAの導入による業務効率化が進んでいるため、これらのツールを使いこなすITスキルやデータ分析力、経営知識も求められる傾向にあります。

総務担当

総務の仕事は、企業のバックオフィス業務を幅広く担う職種です。
総務が担当する業務の例は以下の通りです。

  1. オフィスで使用する備品や設備の発注・管理
  2. プリンターやPCのメンテナンス対応
  3. 電話応対
  4. 社内文書や契約書などの文書管理
  5. 社内行事の企画・運営
  6. 郵便物の仕分け・発送 など

上記に加え、例えば上場企業では株主総会に関する業務、中小企業では広報・人事などの業務も一部兼任するなど、企業の規模や状況に応じて担当する業務は変わります。

そのため、総務に従事するためには柔軟な対応能力、コミュニケーション力、PCスキルや調整力などが求められます。

法人営業

法人営業とは、企業や団体を相手に自社の商品やサービスを提案・販売するB2Bの営業職を指します。

扱う商材は以下の「有形商材」と「無形商材」2種類に区分されます。

種類 該当する商材
有形商材 精密機械・OA機器・不動産など
無形商材 ITシステム・人材サービス・保険・金融・コンサルティングなど

おもな仕事内容としては、電話やメールでのアポイント取得、営業リストの作成、企業・業界の市場調査、提案資料・見積書の作成などが挙げられます。法人営業では、商談相手が決裁権を持つ層であることも多く、基礎的な営業力に加えて企業の経営課題を理解し、それに沿った提案を行う「課題解決型」の営業スキルが求められます。

営業成果は会社の利益に直結するため、大きな達成感が得られる一方で、戦略を練り、顧客を納得させる高いコミュニケーション力や交渉力が必要です。

金融業務担当者

金融業務担当者とは、銀行・証券・保険・リースなどの機関で、取引データの入力・管理、顧客対応、決済処理、書類チェックなど資金の流れを支える事務的な業務を担う役割です。金融業務担当者はおもに以下の3つの業務に分類されます。

業務 内容
窓口業務 ・入出金対応

・口座開設

・解約の手続き など

後方事務 伝票や申請書類のデータ入力、チェック、取引処理
コールセンター業務 顧客への商品案内や問い合わせ対応

上記の業務は、例えば証券会社であれば、証券口座の開設や売買情報の整理、注文処理、営業サポートや資料作成なども担当します。
一方、保険会社では、保険契約の見積作成や申込書作成、契約内容変更の手続き、保険金支払いの処理など、顧客対応と事務処理が融合した業務が中心となる場合が大半です。
金融事務では、ビジネスマナーはもちろんのこと、顧客情報や取引情報を「ミスなく」「スピーディに」処理する能力と金融商品への深い理解が求められます。

法務担当

法務は、企業が法律を遵守しつつ適切な事業運営を行えるよう支援する職種です。

法務の役割は以下のような「攻め」と「守り」の両面に分けられます。

  1. 「攻め」:契約やM&A、業務提携など将来的な企業の収益成長を法的に後押しする「戦略法務」
  2. 「守り」:トラブルを未然に防ぐ「予防法務」、実際の訴訟対応などの「臨床法務」

実際の仕事内容は以下のように多岐にわたります。

  1. 売買や業務委託、秘密保持、合併・買収関連など各種契約書の作成
  2. ライセンスや許認可の調査
  3. 労務・労働問題への対処
  4. 債権回収・債権管理 など

また、各部門からの法律相談に応じて訴訟・係争に対応したり、株主総会や取締役会の運営を法的にサポートしたりする業務も求められるのが特徴的です。さらに、海外に展開している企業の場合、国際法務に関する業務も担当し、高い語学力や国際法の知識が必要とされる場面もあります。

経営コンサルタント

経営コンサルタントは、経営戦略や業務改善、人事・組織設計、マーケティング、さらにはM&Aや新規事業立案など、企業が抱えるさまざまな課題解決を担う専門職です。クライアントの経営陣や現場から情報を収集して課題を洗い出し、分析・仮説検証・戦略立案などのプロセスを通じて、具体的な改善策や改革案を提案し、実行支援も行います。

近年では海外進出に関する支援や、リスク・ガバナンス体制の構築、サプライチェーン改革、グローバルでのガバナンス強化といった高度な領域にも関与するケースが増えています。経営コンサルタントの仕事は、高い分析力、論理的思考、調整力、プレゼン力が求められ、クライアントの経営者や幹部層と対等に渡り合うビジネスセンスが不可欠です。

人事担当

人事は、採用から育成・評価・配置・労務管理に至るまで、幅広く深度のある業務を通じて、企業の成長を支える戦略的パートナーとしての役割を果たします。

人事のおもな業務は以下の通りです。

  1. 新卒・中途を問わず候補者のスクリーニング、面接調整、入社手続きなどの採用業務
  2. 社員の適性を見極め、部署間の適切な人材配置やキャリア開発を支援
  3. 成果に基づいた昇給・昇格
  4. 社会保険手続き、勤怠管理、就業規則の整備、健康診断の実施などの福利厚生・労務管理
  5. 学習や活躍の場をつくるための人材育成・研修設計
  6. 人事制度の構築・運用 など

人事には、上記の業務を遂行するための専門知識や高度な管理スキル・心理的視点が求められます。

在留資格「国際業務」でできる仕事

在留資格「国際業務」でできる仕事

在留資格「国際業務」でできる仕事の一例は以下の通りです。

ここでは、下記の仕事について解説します。

  • 通訳者
  • 翻訳者
  • 語学教師
  • 海外営業・貿易実務担当
  • 広報・宣伝担当
  • デザイナー(グラフィック・Webなど)
  • 商品企画・開発担当

通訳者

通訳は、日本語と外国語を行き来させることで相互理解を支える専門職です。国際的な会議や商談、メーカーの技術ミーティング、観光・宿泊業などの幅広い場面で正確かつ迅速な口頭伝達が求められます。

特に、技術的・商業的な要素が含まれる内容をリアルタイムで通訳するには、専門用語への理解や文化的ニュアンスにも精通していなければなりません。そのため、単なる言語変換ではなく、背景にある文化や専門性を踏まえて的確に伝える能力が重視されます。

翻訳者

翻訳者は、日本語と他言語間の文書を正確かつ文脈に応じて変換し、情報を正確に伝える専門的な職種です。翻訳の活躍の場は広く、貿易会社の契約書や仕様書、メーカーの技術マニュアル、ホテルや旅行会社のパンフレットなど、外国語による正確な情報伝達が必要なさまざまな業界で活躍できます。

翻訳者も通訳者と同様に、単なる語学スキルだけでなく、専門分野への理解と文化的背景のニュアンスを踏まえた対応が求められます。

語学教師

語学教師とは、おもに母国語を日本国内の語学スクールや民間教育機関で指導する専門職です。仕事内容は、授業の企画と実施、教材やレッスンプランの作成、学習者の習熟度に応じた指導や評価など多岐にわたります。

単に言語を教えるだけでなく、その言語が根付く文化や習慣も含めて伝えることが求められます。

海外営業・貿易実務担当

海外営業・貿易実務担当は、日本企業が海外市場へ製品やサービスを展開するにあたり、その窓口となってさまざまな業務を遂行する専門職です。

海外営業・貿易実務担当が従事する職務は以下の通りです。

職種 職務内容
海外営業 ・海外市場のリサーチ

・販路開発

・新規取引先の開拓

・見積書作成

・海外企業との価格交渉や契約締結 など

貿易実務 ・輸出入手続き

・インボイスの作成

・輸送手配

・通関業務

・必要書類の管理 など

上記の業務を遂行する海外営業・貿易実務担当には、現地のビジネス慣習や制度理解、調整力、国際交渉能力が不可欠です。

広報・宣伝担当

広報・宣伝担当者は、日本における企業やブランドの対外的な顔として、国外や国内に向けた情報発信、ブランドイメージ構築、メディア対応を担う専門的な役割です。具体的な業務としては、プレスリリースの作成、メディアやインフルエンサーとの連携、企業SNSの運用や広告施策の企画・実行、イベントや展示会の広報企画など多岐にわたります。

また、海外向けサイトのローカライズ対応や、現地事情を踏まえたプロモーション方針の立案と実施も広報・宣伝の重要な業務です。

デザイナー(グラフィック・Webなど)

デザイナーはファッション・インテリア・工業・グラフィック・Webなど多くの業界で活躍の場がある職種です。

ここでは、一例としてグラフィックデザイナーおよびWebデザイナーの概要を以下に解説します。

職種 概要
グラフィックデザイナー ・広告、出版、パッケージ、ブランドアイデンティティなど多様な媒体を通して「視覚的メッセージ」を伝える

・Webサイトやオンライン広告でで用いられる画像やバナーなども担当するケースが多い

Webデザイナー Webサイトの「見た目」と「使いやすさ」を設計し、コーティングにより実装する

グラフィックデザイナーおよびWebデザイナーは、オンライン上における見え方や装飾などに関わる部分は共通していますが、コーティングやメンテナンスの有無などに違いがあります。

商品企画・開発担当

商品企画・開発担当は、新商品の企画立案から実際の形にするまでのプロセス全体を担う専門職です。市場動向を分析し、コンセプト設計、仕様決定、パッケージデザイン、製造業者との調整、商品化までを包括的に推進します。

例えば、自動車業界では、グローバル戦略に基づいた将来の製品ポートフォリオを決定し、ブランド競争力を高めるための具体的な商品戦略を立案するのがおもな業務内容です。商品企画・開発担当には、業界に即した専門的な知識とトレンドと消費者動向を念頭に置いた分析力・判断力が求められます。

「技術・人文知識・国際業務」で就労できない仕事

「技術・人文知識・国際業務」で就労できない仕事

在留資格「技術・人文知識・国際業務」は、専門的な知識や技能、または文化的な感受性を活かす職務に限定されています。

そのため、以下のような「単純労働」は含まれず、原則として就労不可です。

  1. コンビニ・スーパーのレジ打ち
  2. 飲食店でのホール対応や調理補助
  3. 建設現場での資材運搬や作業業務
  4. ホテルでのフロントやベッドメイク業務
  5. 工場の製造ライン作業 など

ただ、上記のような制限があるのは「技人国」に限ったルールであり、以下のようなビザカテゴリーや許可取得があれば、単純労働でも就業可能です。

  1. 配偶者ビザ(家族滞在):就労制限がなく、単純労働や業種を問わず就労可
  2. 永住ビザ/定住者ビザ:原則的に就労の制限はなく、自由な職業選択が可能
  3. 資格外活動許可:元々の在留資格に関係なく、副業やパート勤務などの単純労働を行う場合に必要だが、これが許可されるのはあくまでも「留学」や「家族滞在」など労働制限のあるビザ所持者に限られ、「技人国」では資格変更をしない限り単純労働は不可

職務内容やビザ選択に迷ったときは、必ず専門家に相談するようにしてください。

「技術・人文知識・国際業務」の就労時の注意点

「技術・人文知識・国際業務」の就労時の注意点

在留資格「技術・人文知識・国際業務」の人材を雇用する際の注意点は以下の通りです。

ここでは下記注意点について解説します。

  • 日本人と同等の給与水準にする
  • 会社の財務状況等による審査がある

日本人と同等の給与水準にする

在留資格「技術・人文知識・国際業務」で外国人を雇用する場合、最も重要な要件の一つが「日本人と同等以上の給与水準を確保する」点です。報酬に含まれるのは基本給と賞与であり、通勤手当や住宅手当などの手当は対象外とされています。

判断基準は同一企業・同一業務の日本人従業員の給与が基本となりますが、その金額が業界水準を著しく下回っている場合、たとえ同額を支払っていても「同等」とは認められず、不許可となる可能性があります。申請時には給与明細や社内規定、年収シミュレーションなどを提示し、外国人労働者を正当に処遇している状況を示すことが許可を得るために大切なポイントです。

会社の財務状況等による審査がある

在留資格「技術・人文知識・国際業務」で外国人を雇用する際には、申請者本人の学歴や職歴だけでなく、受け入れる企業の財務状況も入管審査の重要なポイントです。審査の目的は、企業が安定的に給与を支払い続けられるかを確認する点にあり、経営の安定性や継続性が疑問視される場合、在留資格が不許可となるリスクがあります。

そのため、申請時には直近年度の決算書(貸借対照表・損益計算書)や源泉徴収票等の法定調書合計表、登記事項証明書などの資料の提出が求められます。会社が黒字経営であれば問題なく進みますが、赤字決算や新設法人の場合には、ただちに不許可になるわけではないものの、将来の事業展開や収益改善の見込みを明示した事業計画書の提出が必須です。

在留資格の取得においては個人の条件だけでなく、雇用する会社の経営状態も密接に関わっており、財務状況を裏付ける資料や将来の安定性を示す根拠を整えて申請する必要があります。

在留資格「技術・人文知識・国際業務」で就労できる仕事のまとめ

在留資格「技術・人文知識・国際業務」で就労できる仕事のまとめ

本記事で紹介した在留資格「技術・人文知識・国際業務」で就労できる仕事は以下の通りです。

区分 仕事
技術 ・システムエンジニア

・航空機整備エンジニア

・ソフトウェア開発エンジニア(プログラマー)

・CAD設計オペレーター

・ゲーム開発エンジニア

・精密機器エンジニア

人文知識 ・経理担当

・総務担当

・法人営業

・金融業務担当者

・法務担当

・経営コンサルタント

・人事担当

国際業務 ・通訳者

・翻訳者

・語学教師

・海外営業・貿易実務担当

・広報・宣伝担当

・デザイナー(グラフィック・Webなど)

・商品企画・開発担当

外国人材を採用する企業にとって「技術・人文知識・国際業務」は幅広い分野をカバーする有効な在留資格です。仮に自社で上記の表にあるような職種の外国人材の雇用を検討している場合は、候補者がこの在留資格を持っているか、または取得可能な条件を満たしているかの確認がまず大切です。

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