在留カードを紛失した場合、14日以内に再発行の申請を行う必要があります。放置すると不法滞在とみなされるリスクもあるため、早急に対応しなければなりません。
再交付の手続きの際には、必要書類や本人確認資料を過不足なく準備し申請する必要があります。
本記事では、在留カードをなくした際の再交付申請の流れや必要書類、注意点について解説します。
在留カード紛失時は14日以内に再発行をする
日本に中長期在留する外国人が在留カードを紛失したときは、「紛失を知った日から14日以内」に再交付申請をする義務があります。
在留カードの再発行の必要性は、出入国管理及び難民認定法(入管法)第十九条の十二で定められており、期限を過ぎると1年以下の懲役または20万円以下の罰金の対象となる可能性があります。
在留カードを紛失してしまった場合のステップは以下の通りです。
ステップ | 内容 |
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①警察署に紛失届を出す | 最寄りの警察署や交番で遺失届出(または盗難届出)を提出し、遺失届出証明書や盗難届出証明書を受け取る |
②出入国在留管理庁で再交付の申請 | 居住地を管轄する地方出入国在留管理官署へ、必要書類を揃えて申請 |
また、海外で在留カードを紛失した場合のステップは以下の通りです。
状況 | 内容 |
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現地で紛失 | まずその国の警察で紛失を届け出て、出来れば紛失証明書を取得 |
帰国後 |
|
海外で在留カードを紛失しても、日本への再入国自体は可能です。ただし国籍や航空会社の規定によっては、搭乗を拒否される場合があるため、以下の対処をしておくと安心です。
- 日本にいる家族や知人に頼んで、本人の住居地を管轄する入管で「再入国許可期限証明書」を取得してもらう
- 再入国許可期限証明書を郵送してもらうなどして、搭乗時に提示できるように用意しておく
海外では在留カードを再発行できないため、上記の対処を行ってより確実に日本に再入国できる体制を整えるようにしましょう。
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在留カード紛失時に14日以内に再発行できない場合の注意点
在留カードを紛失してから14日以内に再発行申請をしなかったり、紛失や再交付義務を怠ったりすると、以下のような罰則を受ける可能性があります。
違反 | 罰則内容 |
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再交付申請義務違反 | 入管法により、最大1年以下の懲役または20万円以下の罰金が科される可能性がある |
携帯義務違反 |
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上記にあるように、法で在留カードの紛失・再交付義務、そして携帯・提示義務は明確に定められており、過失や無知の免責は一切ありません。原則、在留カードを紛失したら14日以内に再交付申請するのが正しい対応となります。
ただ、16歳未満の人や特別永住者証明書を持っている人などは、携帯義務などの一部が免除されるケースがあるため、自身の属性を把握した上での対応が必要です。
在留カード紛失時の再交付申請の流れ
在留カード紛失時の再交付申請の流れは以下の通りです。
- 警察に紛失届を提出し、証明書を受け取る(災害による紛失の場合は「罹災証明書」を取得)
- 管轄の地方出入国在留管理官署で再交付申請
- 申請が承認されれば、原則その日に新しい在留カードを受け取れる
- 再発行までの間はパスポート、警察での届出の控え、再交付申請中であることを証明できる書類を携帯しておく
各ステップごとの詳細と重要なポイントは以下の通りです。
ステップ | ポイント |
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1.警察に紛失届を提出し、証明書を受け取る(災害による紛失の場合は「罹災証明書」を取得) |
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2.管轄の地方出入国在留管理官署で再交付申請 | 住んでいる場所を管轄する地方出入国在留管理官署で申請 |
3.申請が承認されれば、原則その日に新しい在留カードを受け取れる | 書類に不備がなければ、原則として当日新しい在留カードが受け取れる |
4.再発行までの間はパスポート、警察での届出の控え、再交付申請中であることを証明できる書類を携帯しておく | 携帯していないと、カード不携帯として罰則対象となるリスクがある |
再交付の申請の際には、在留カードが無くなった理由に応じて届出を提出した上で、地方出入国在留管理官署に申請を行うのが基本的な流れです。
在留カード再発行の必要書類一覧
在留カード再発行時に必要な書類の一覧は以下の通りです。
書類名 | ポイント |
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在留カード再交付申請書 | 出入国在留管理庁のサイトからダウンロード可能 |
証明用写真 | 縦4cm×横3cm、申請前3か月以内に撮影された規格を満たした写真 |
所持を失ったことを証する資料 | 遺失届出証明書、盗難届出証明書、り災証明書など |
在留カード漢字氏名表記申出書(希望者のみ) | 現在使用している在留カードに漢字氏名を併記したい場合に提出 |
パスポート | 本人確認のために渡航用のパスポートを提示 |
旅券(又は在留資格証明書)を提示できないときは、その理由を記載した理由書 | 証明書や旅券が提示できない状況なら、その理由を説明する書類を提出 |
委任状 | 本人以外が申請する場合に必要 |
上記の書類を地方出入国在留管理官署に提出後、カードの再交付申請が承認され、受け取りに行く際には以下の書類が必要です。
- 申請受付票
- パスポート
- 住民票、外国人登録証明書、在留資格証明書など
必要書類の詳細は以下の出入国在留管理庁のページを参考にしてください。
出典:紛失等による在留カードの再交付申請 | 出入国在留管理庁
在留カード再発行に必要な費用と時間
在留カード再発行に必要な費用と時間は以下の通りです。
費用 |
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所要時間 |
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紛失の際には手数料無料で再発行できるため、費用面は気にせずに申請できます。
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在留カード紛失時に必要な対応のまとめ
在留カードの紛失は、単なる「物をなくした」では済まされない重大な事案です。
外国人本人が14日以内に適切な再交付申請を行わない場合、最大1年以下の懲役または20万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
また、在留カードの常時携帯義務を怠った場合も、20万円以下の罰金や、警察官の提示要求に応じなければさらなる罰則の対象となります。
企業側が外国人材の在留カードの紛失に対して留意すべきポイントは以下の通りです。
- 従業員の在留カードの有効性・保持状況を定期的に確認する
- 紛失が判明した場合、すぐに本人へ再交付申請を促す
- 再交付手続き完了まで、本人にパスポートと紛失届控えを携帯させるよう指導
- 特に不法滞在や不法就労と誤解されないようサポート体制を整える
企業としても、上記のポイントを意識して在留資格に関するリスク管理を徹底し、必要であれば申請や届出の支援を行えば、双方にとって安心・安全な雇用環境を構築できるでしょう。