日本の労働人口が減少を続けており、外国人留学生の新卒採用を行う企業は多数あります。
ただ、外国人の新卒採用は簡単ではなく、行えていない企業も少なくありません。
外国人留学生の新卒採用には、日本語能力を適正に審査する試験の準備やサポート体制の構築が必要です。
本記事では、外国人労働者の現状や外国人留学生を採用する目的、採用で失敗しないためのポイントについて解説します。
本記事を読むことで、外国人留学生の新卒採用について理解が深められます。
外国人採用を検討している方は、ぜひご覧ください。
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どのくらいの外国人留学生が日本で就職するの?
厚生労働省が発表している「外国人雇用状況」の届出状況まとめによれば、2022年10月末時点の外国人労働者数は1,822,725人です。
2021年と比べ95,504人増加し、届出が義務化された2007年以降、過去最高を更新しました。
また、外国人を雇用する事業所数は298,790所。
前年から13,710所増加するとともに、届出義務化以降、過去最高を更新しています。
ここからは、外国人労働者数の推移と割合や、外国人留学を積極的に採用している企業5選について詳しく解説します。
外国人労働者数の推移と割合
厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況表一覧と、総務省統計局の第1 就業状態の動向 1 労働力人口のデータによれば、外国人労働者数の推移と割合は以下の通りです。
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
外国人労働者数 | 1,460,463人 | 1,658,804人 | 1,724,328人 | 1,727,221人 | 1,822,725人 |
日本の労働力人口 | 6,849万人 | 6,912万人 | 6,902万人 | 6,907万人 | 6,902万人 |
日本の労働力人口に占める外国人労働者の割合 | 2.1% | 2.4% | 2.5% | 2.5% | 2.6% |
外国人労働者数は増加を続ける一方、日本の労働力人口は2019年をピークに減少傾向にあります。
日本の労働力人口に占める外国人労働者の割合も増加傾向にあり、今後も増えると予想されます。
以下は、外国人労働者数を産業別に示したデータです。
外国人労働者が従事している産業別割合は、製造業がもっとも高く485,128人で、26.6%です。
次いで、サービス業(他に分類されないもの)が295,700人で16.2%、卸売業・小売業が237,928人で13.1%となっています。
参考:「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和4年10月末現在)|厚生労働省
参考:第1 就業状態の動向 1 労働力人口|総務省統計局
外国人留学を積極的に採用している企業5選
総人口の減少とともに労働人口が減少する日本において、採用は簡単ではありません。
また、単純な労働力獲得以外にも外国人採用にはメリットがあるため、中には日本人だけでなく外国人留学生の採用に力をいれている企業も多数存在します。
具体的に、外国人留学を積極的に採用している企業5選は以下の通りです。
メルカリ
国内でトップクラスに外国人の採用に積極的な企業の一つで、2018年の新卒採用エンジニアにおける約9割が外国人です。
メルカリの代表者である山田進太郎氏も「日本語でのコミュニケーションができなくても、英語ができれば積極的に雇用する」と発言しています。
「GOT」と名づけられた外国人サポートチームを作り、通訳や翻訳なども行い安心して働ける環境を整えています。
楽天
2012年に社内の公用語を英語にすると発表し、話題となりました。
グローバル化を推進しており、従業員の出身国・地域数が100を超えています。
実際に、2014年に雇用した開発職における約8割が外国人です。
英語の採用ページも作成し、外国人が応募しやすい体制を作っています。
パナソニック
2011年に雇用した新卒の約8割、1,100人は外国人です。
2016年には外国人採用を専門に行う「グローバル人事」を設置。
世界中で採用を行っており、海外の現地法人における採用ページも作成しています。
ソフトバンク
思い描く未来に共感し同様の志を保持する人であれば、新卒・既卒や国籍などを問わない「No.1採用」を実施しています。
過去には、社内表彰である「ソフトバンクアワード」をネパール人が獲得した実績もあり、国籍を問わず採用・評価する土壌が整っています。
ファーストリテイリング
国内のみならず海外にも多くの店舗を展開するユニクロの運営会社であるファーストリテイリングも、積極的に採用しています。
実際に、海外の店舗のみならず国内店舗でも多くの外国人が勤務。
楽天よりも早い2010年に公用語を英語にすると宣言し、グローバル化を推進しています。
2012年には、新卒の8割程度に相当する1,050人超えの外国人を雇用しました。
上記以外にも、NTTコミュニケーションズやファミリーマート、日立物流などの企業も、外国人の採用に力をいれています。
企業が新卒で外国人留学生を採用する目的
企業が新卒で外国人留学生を採用する目的は、労働力の確保だけではありません。
外国人留学生の採用による、グローバル化の推進などの目的があります。
ここからは、企業が新卒で外国人留学生を採用する以下3つの目的について詳しく解説します。
◉ 異文化の導入と多様性の推進
◉ 人材不足の解消と採用競争力の向上
グローバルな視点
外国人留学生を採用する目的の1つ目は、グローバルな視点の獲得です。
外国人労働者は、英語などの言語をあやつり日本とは異なる文化や背景を理解しているため、海外進出の戦力となります。
グローバルビジネスの展開や異文化コミュニケーションにおいて重要な役割を果たします。
また、外国人労働者の存在が社内の日本人従業員へ与える影響も少なくありません。
社内での外国人労働者との交流は、相手の文化や背景を理解するスキル・心構えの醸成に効果的です。
ビジネスにおいて、相手の理解などはパートナーシップの構築に欠かせません。
日本人従業員や企業文化にも、グローバルな視点が組み込まれます。
結果的に、グローバルな市場での競争力が向上します。
異文化の導入と多様性の推進
外国人留学生を採用する目的の2つ目は、異文化の導入と多様性の推進です。
多様な文化や背景を持つ人が混在すれば、企業の多様性が推進されます。
新たな視点やアイディアが創造される機会になり、企業として多様な視点を持てます。
これまでにはない創造性やイノベーションの促進が可能です。
人材不足の解消と採用競争力の向上
外国人留学生を採用する目的の3つ目は、人材不足の解消と採用競争力の向上です。
日本人の人口が減少を続けているため採用が困難で、人材の供給不足が課題となっています。
しかし、企業の競争力を決める大きな要因の一つは人材の数と質。
優秀な人材を確保しなければ、競争力が減少します。
外国人留学生を採用すれば、国内採用ができない分の数を担保できます。
また、基本的に日本に留学する学生は優秀な人材が多く、とくに国費留学をしている学生は、各国での厳しい選考を通過した者のみです。
さらに、外国人留学生の採用には、企業のブランドイメージや魅力などを高めるのにも効果的です。
外国人留学生採用の失敗しない為のポイント
外国人留学生の採用は、言語はもちろん、文化や背景が異なるため、日本人採用と異なります。
また、雇用には在留資格の取得などの手続きも必要で、行わない場合は外国人労働者、企業の双方に罰則が科せられるため、ご注意ください。
ここからは、採用時と採用後に分類し、外国人留学生採用を失敗しない為のポイントについて詳しく解説します。
選考時のポイント
選考時に日本語能力がどの程度かを確認するのが重要です。
もちろん、どの程度の日本語能力を求めるかは企業により異なります。
自社で必要な日本語能力を適切に審査するための試験や面接をどのように行うか、検討する必要があります。
また、採用を行うにあたり多様性の容認も欠かせません。
多様性を容認できなければ、異なる文化や背景を持つ外国人留学生を適正に評価するのが困難です。
さらに、サポートする体制の整備も重要。
移住手続きや住居の確保、日本の文化や生活に関する情報提供などのサポート体制を整えるのがおすすめです。
採用後のポイント
外国人を雇用するためには、在留資格の取得が欠かせません。
在留資格を取得せずに雇用した場合、働いている外国人・雇用している企業の双方に罰則が科せられます。
ちなみに、在留資格とは外国人が日本に居る期間で、一定の活動を行う権利などを示す法的な資格のことです。
また、外国人との雇用契約は日本人との契約よりも注意が必要をしなければなりません。
後日トラブルとならないように、しっかりと契約内容を明文化・説明し理解を得るのが重要です。
法律上定められてはいませんが、トラブル発生を未然に防ぐためにも、母国語を利用した雇用契約書・労働条件通知書の作成がおすすめです。
さらに、ひらがなやカタカナ、漢字が存在し、同じ意味を表す言葉も複数ある日本語は世界で難しいといわれる言語の一つ。
独特な言い回しも多く、専門用語やビジネス用語は、日本語に慣れている外国人でも馴染みがないものが多く存在します。
日本語でコミュニケーションをとる際は、以下を意識するのがおすすめです。
◉ 長文は避ける
◉ 俗語や略語は使用しない
◉ カタカナ語は英語にする など
外国人留学生の新卒採用の目的と現状や失敗しない為のポイントを解説 まとめ
本記事では、外国人労働者の現状や外国人留学生を採用する目的、採用で失敗しないためのポイントについて解説しました。
外国人労働者は年々増加し続けており、2022年10月末時点で1,822,725人となっています。
外国人留学生の採用には、単純な労働力確保以外にも以下のメリットが存在。
◉ 異文化の導入と多様性の推進
◉ 人材不足の解消と採用競争力の向上
ただし、採用する際は採用時と採用後に注意が必要です。
外国人留学生を採用・雇用する体制を整え、自社の競争力向上に努めましょう。