日本における外国人労働者の国別ランキングは、2025年時点でベトナムが第1位、次いで中国とフィリピンが続いている状態です。業種や在留資格によって主要な出身国が異なり、それぞれ特徴的な傾向があります。
本記事では、最新データに基づく外国人労働者の国別ランキング、在留資格別・業種別の割合について解説します。各国の特徴や背景を詳しくまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
日本における外国人労働者の推移
日本における外国人労働者数は近年継続的に増加しており、特に2020年以降の伸び率が顕著です。労働力人口の減少や少子高齢化が進む中、各業界で人手不足が深刻化し、外国人労働力への依存が高まっています。
日本における外国人労働者の具体的な推移をまとめると、以下の通りです。
年度 | 外国人労働者数 | 対前年増加数 | 対前年増加率 |
---|---|---|---|
2020年(令和2年) | 1,724,328人 | +68,524人 | +4.0% |
2021年(令和3年) | 1,727,221人 | +2,893人 | +0.2% |
2022年(令和4年) | 1,822,725人 | +95,504人 | +5.5% |
2023年(令和5年) | 2,048,675人 | +225,950人 | +12.4% |
2024年(令和6年10月) | 2,302,587人 | +253,912人 | +12.4% |
厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和6年10月末時点)
日本の外国人労働者数は、2024年10月時点で過去最多の230万人を突破しました。新型コロナウイルスの影響で一時的に増加が落ち着いたものの、近年は再び大幅な増加傾向が続いています。労働力人口の減少や高齢化が進む中、企業の人材確保のために外国人雇用が拡大している状態です。背景には、製造業やサービス業など幅広い分野で人手不足が深刻化しています。
現在の傾向が続けば、2025年には250万人に達する可能性が高く、日本の労働市場における外国人の存在感はますます重要になっています。
【2025年】外国人労働者全体ランキング
2025年時点での外国人労働者の届出状況は、2024年10月末時点でのデータが基準です。2025年における外国人労働者の国別構成は、東南アジア諸国が上位を独占する構造となっています。具体的な順位をランキング形式で以下にまとめました。
順位 | 国籍 | 労働者数 | 割合 |
---|---|---|---|
1位 | ベトナム | 570,708人 | 24.8% |
2位 | 中国 | 408,805人 | 17.8% |
3位 | フィリピン | 245,565人 | 10.7% |
4位 | ネパール | 142,804人 | 6.2% |
5位 | インドネシア | 169,539人 | 7.4% |
6位 | ミャンマー | 114,618人 | 5.0% |
7位 | ブラジル | 136,173人 | 5.9% |
8位 | 韓国 | 51,000人 | 2.2% |
9位 | スリランカ | 39,136人 | 1.7% |
10位 | アメリカ | 34,459人 | 1.5% |
厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和6年10月末時点)
2025年時点で日本に最も多い外国人労働者はベトナム出身者で、全体の約4分の1を占めています。中国やフィリピンも上位を維持しており、東南アジア諸国からの労働者が全体を大きく支えているのが現状です。
近年はミャンマーやインドネシア、ネパールなど新興国からの増加が目立ち、前年と比較しても大幅な伸びです。一方で、ブラジルやアメリカなど一部の国では微減傾向が見られ、国ごとの動向に違いが生じています。
在留資格やケース別の外国人労働者の国別割合
外国人労働者の受入れが進む中、日本では在留資格や活動ケースごとに国籍別の特徴が明確になっています。各在留資格において、主要な出身国や働き方が異なるため、雇用現場では制度に合わせたサポートが必要です。
ここでは、以下の項目別で在留資格やケース別の外国人労働者の国別割合について解説します。
- 在留資格やケース別の外国人労働者の国別割合
-
- 専門職や技術職として認められた在留資格を持つ外国人労働者の国別割合
- 永住もしくは定住が認められた在留資格を持つ外国人労働者の国別割合
- 資格外活動許可された外国人労働者の国別割合
- 外国人技能実習制度利用の外国人労働者の国別割合
- 特定活動を持つ外国人労働者の国別割合
専門職や技術職として認められた在留資格を持つ外国人労働者の国別割合
専門職や技術職の在留資格を持つ外国人労働者は、高度な知識や技能を活用して日本の企業で活躍しています。IT関連職種やエンジニア、国際業務担当者など、専門性の高い分野での雇用が中心となっています。
専門職・技術職として認められた、在留資格を持つ外国人労働者の国別割合は以下の通りです。
順位 | 国籍 | 人数 | 割合 |
---|---|---|---|
1 | ベトナム | 196,049人 | 27.3% |
2 | 中国 | 163,512人 | 22.8% |
3 | インドネシア | 54,622人 | 7.6% |
4 | ネパール | 48,172人 | 6.7% |
5 | フィリピン | 38,833人 | 5.4% |
6 | ミャンマー | 35,888人 | 5.0% |
7 | 韓国 | 32,514人 | 4.5% |
8 | インド | 26,442人 | 3.7% |
厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和6年10月末時点)
ベトナムと中国で全体の半数を占める構造となっており、IT・エンジニア分野での需要が高いです。インドネシアやネパールも急成長しており、多国籍化が進行しています。
高度人材需要はアジア諸国中心に続いていますが、日本語力と専門スキルの両立が採用の重要な要素です。企業のグローバル化に伴い、多様な国籍の高度人材が日本の技術革新と競争力向上を支えています。
永住もしくは定住が認められた在留資格を持つ外国人労働者の国別割合
身分に基づく在留資格を持つ外国人労働者は、永住者や定住者として長期的に日本で生活基盤を築いています。家族と共に日本社会に根ざし、地域の一員として安定した雇用関係を築いている層です。
身分に基づく在留資格を持つ外国人労働者の国別割合は、以下の通りです。
順位 | 国籍 | 人数 | 割合 |
---|---|---|---|
1 | フィリピン | 153,833人 | 24.5% |
2 | 中国 | 139,656人 | 22.2% |
3 | ブラジル | 134,328人 | 21.4% |
4 | 韓国 | 32,305人 | 5.1% |
5 | G7諸国等 | 32,253人 | 5.1% |
6 | ペルー | 20,448人 | 3.3% |
7 | ベトナム | 19,264人 | 3.1% |
8 | タイ | 15,692人 | 2.5% |
厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和6年10月末時点)
上位3か国で全体の約7割を占め、フィリピンや中国、ブラジルが主要となっています。日系人コミュニティや国際結婚による定住、長期就労後の永住権取得などさまざまな経路があります。長期定着により離職率が低く、地域経済に密着した安定した労働力を提供しています。企業にとって、家族帯同支援やキャリアパス構築が重要な課題です。
資格外活動許可された外国人労働者の国別割合
資格外活動許可を得た外国人労働者の大部分は留学生で、学業と並行してアルバイト等の就労を行っています。飲食業や小売業、サービス業での勤務が中心で、学費や生活費確保が主な動機となっています。
資格外活動許可された外国人労働者の国別割合は、以下の通りです。
順位 | 国籍 | 人数 | 割合 |
---|---|---|---|
1 | ネパール | 126,358人 | 31.8% |
2 | ベトナム | 101,886人 | 25.6% |
3 | 中国 | 67,751人 | 17.0% |
4 | ミャンマー | 21,810人 | 5.5% |
5 | スリランカ | 18,731人 | 4.7% |
6 | 韓国 | 13,824人 | 3.5% |
7 | バングラデシュ | 9,477人 | 2.4% |
8 | フィリピン | 8,539人 | 2.1% |
厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和6年10月末時点)
ネパールが突出して多く3割超を占め、ベトナムや中国が続いています。学費・生活費確保が動機でサービス業中心に就業しており、アルバイト比率が高い傾向です。週28時間の就労制限があるため、企業側は適切な労働時間管理が必要です。学業との両立が雇用管理において重要ポイントとなり、将来の正社員採用につながるケースも増加しています。
外国人技能実習制度利用の外国人労働者の国別割合
技能実習制度は発展途上国への技能移転を目的とした制度で、製造業や農業、建設業等での実習が行われています。実習生は日本での実務経験を通じて技能を習得し、帰国後の産業発展への貢献が期待されています。
技能実習制度利用の外国人労働者の国別割合は、以下の通りです。
順位 | 国籍 | 人数 | 割合 |
---|---|---|---|
1 | ベトナム | 223,291人 | 47.4% |
2 | インドネシア | 81,874人 | 17.4% |
3 | フィリピン | 42,132人 | 8.9% |
4 | 中国 | 34,839人 | 7.4% |
5 | ミャンマー | 28,729人 | 6.1% |
6 | タイ | 14,927人 | 3.2% |
7 | カンボジア | 14,186人 | 3.0% |
8 | ラオス | 6,424人 | 1.4% |
厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和6年10月末時点)
ベトナムが実習生の約半数を占める圧倒的な存在で、日本での技能習得に対する意欲の高さが反映されています。製造・農業・建設分野で技能移転を目的に来日し、インドネシア・フィリピンも協定拡充により増加している状態です。
二国間協定や送出機関の体制整備が背景にあり、安定した受入れが行われています。適正な実習実施と生活支援が受入企業の必須課題となっており、人権配慮も重要な要素です。
特定活動を持つ外国人労働者の国別割合
特定活動の在留資格は多様な活動を認める制度で、介護や農業、ワーキングホリデーの就職活動等が含まれます。近年は、介護分野や農業などでの特定活動による受け入れが拡大している傾向にあります。
特定活動を持つ外国人労働者の国別割合は、以下の通りです。
順位 | 国籍 | 人数 | 割合 |
---|---|---|---|
1 | ベトナム | 27,643人 | 32.3% |
2 | ミャンマー | 18,761人 | 21.9% |
3 | インドネシア | 7,102人 | 8.3% |
4 | フィリピン | 5,580人 | 6.5% |
5 | 中国(香港・マカオ含む) | 4,761人 | 5.6% |
6 | カンボジア | 3,485人 | 4.1% |
7 | ネパール | 3,219人 | 3.8% |
8 | タイ | 2,995人 | 3.5% |
厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和6年10月末時点)
ベトナム・ミャンマーで全体の5割超を占め、政府間協定による支援制度の充実が要因となっています。介護分野や農業季節就労での受入れが中心で、EPA(経済連携協定)に基づく制度も含まれます。
制度拡大に伴う多様化が今後も進展し、各国の特性や日本のニーズに応じた柔軟な受け入れが行われる予定です。柔軟な就労枠であるため、現場ニーズとのマッチングが重要な要素となっています。
業種別の外国人労働者の国別割合
業種別に外国人労働者の構成を見ると、製造業やサービス業、卸売・小売業が主要な受入れ分野となっています。各業種において主要な出身国が異なり、業種の特性や求められるスキルに応じて国別の傾向が明確に現れています。
業種別の外国人労働者の国別割合は、以下の通りです。
業種 | 外国人労働者数 | 全体に占める割合 | 主な出身国(上位3か国) |
---|---|---|---|
製造業 | 598,314人 | 26.0% | ベトナム、中国、フィリピン |
サービス業(他に分類されないもの) | 354,599人 | 15.4% | ベトナム、中国、ネパール |
卸売業・小売業 | 299,336人 | 13.0% | 中国、ベトナム、ネパール |
宿泊業・飲食サービス業 | 217,879人 | 9.5% | ベトナム、ネパール、中国 |
建設業 | 152,427人 | 6.6% | ベトナム、中国、フィリピン |
医療・福祉 | 116,350人 | 5.1% | フィリピン、ベトナム、インドネシア |
情報通信業 | 90,546人 | 3.9% | 中国、ベトナム、インド |
教育・学習支援業 | 82,902人 | 3.6% | 中国、韓国、アメリカ |
厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和6年10月末時点)
製造業が最大の受入れ分野で全体の約4分の1を占め、ベトナムと中国からの労働者が中心です。サービス業や宿泊・飲食業ではベトナムやネパール、中国の順で多く、留学生のアルバイトも含まれています。
医療・福祉分野ではフィリピン出身者が多く、EPA(経済連携協定)による看護師・介護福祉士候補者の受け入れの影響が大きいです。建設業や農業分野でも技能実習制度を通じたベトナムや中国、フィリピンからの受け入れが中心的な役割を果たしています。
各業種の特性や求められるスキルに応じて国別の傾向が明確に現れており、業種ごとの専門性と出身国の特色が密接に関連しているのです。全体的にベトナム出身者の存在感が増し、多様な分野で日本の労働市場を支える重要な役割を担っています。
外国人労働者の国別ランキング1位はベトナム
2024年10月末時点で、日本における外国人労働者の国別ランキングでベトナムが第1位となっています。ベトナム人労働者数は570,708人に達し、全体の24.8%を占める圧倒的な存在感を示しています。
ベトナムが1位となった理由として、日本の賃金水準がベトナムに比べて高く、高収入を目指せる点が主な要因です。日本は治安が良好で労働環境や労働者保護の法整備が比較的整っているため、安心して働ける環境が提供されています。
さらに、日越間では技能実習や特定技能などの二国間協定が締結されており、制度を利用しやすい環境が整備されている点も主な要因です。加えて、ベトナム国民の親日的な国民性があり、日本の文化や技術に対する強い関心と学習意欲が来日動機を後押ししています。
ベトナムは日本の外国人労働者受入れにおいて最大の送り出し国となり、製造業から農業、サービス業まで幅広い分野で活躍しています。今後も日本の労働力不足を補う重要なパートナーとして、ベトナム人労働者の存在感はさらに高まる可能性が高いです。
日本における外国人労働者の出身国の5つの特徴
日本で働く外国人労働者は、出身国ごとにさまざまな特徴を持っています。経済状況や文化的背景、就労動機が異なれば、受け入れ現場でも多様な対応が求められます。
主な送り出し国に共通する5つの特徴を以下にまとめました。詳しく解説します。
- 5つの特徴
-
- 一般的に外国に出稼ぎの選択肢がある
- 給与水準が日本より低い
- 自国での労働機会が少ない
- 親日文化がある
- 日本の技術を学びたいと考えている
1. 一般的に外国に出稼ぎの選択肢がある
フィリピンやインドネシアなどでは、家族を支えるために海外で働く風土が根付いています。背景には国内で十分な雇用や所得が確保できない現状や、国を跨ぐ労働が一般的な選択肢として社会に受け入れられている点があります。
フィリピンは世界最大の労働力輸出国とされ、日本以外にも多数の労働者を送り出している国として有名です。インドネシアでも、月収が日本の数分の一という賃金水準により出稼ぎ志向が強くなっています。
母国送金が家計に大きな役割を果たす点も特徴です。職業観として「海外で働くこと」が一般的な価値観になっています。
2. 給与水準が日本より低い
ベトナムやネパールでは日本と比べて賃金格差が大きく、日本で働くことが高収入の道となります。現地の平均月収が日本の1/5以下に相当するケースもあり、日本での就労希望が根強い背景です。
そのため、ベトナムやネパールの若者は、短期間で効率よく資金を稼ぐために出稼ぎを選んでいます。特定技能や技能実習制度が整備されたことで、正規の就労ルートも拡大しています。
また、仕送りによる親族支援や将来の資金作りに直結しており、ベトナム・ネパールに特に強く表れている傾向です。
3. 自国での労働機会が少ない
ベトナムやインドネシア、フィリピンでは失業率が高い傾向があります。国内産業が十分に発展しきれていなかったり、人口増加による雇用不足が深刻な課題です。
若年層を中心に新たな活躍の場を求めて、日本へ働きに出る傾向が見られます。とくに、インドネシアやフィリピンは人口構成も若く、国内で希望の仕事を得られない人が多いです。
外国での就労によって、豊かな経験や新しいチャンスを求める志向が強くなっています。人材供給国として日本を選ぶ大きな理由となっているのが現状です。
4. 親日文化がある
フィリピンやベトナムでは日本文化に対する関心や親しみを持つ人が多いです。交流や援助、アニメや日本食などを通じて日本への好感度が高い点が要因となっています。
ベトナム社会では日本製品の信頼度や日本語学習熱が強い傾向があります。フィリピンの場合も日本での永住や定住を志す人が多く、親日的価値観が根付いています。
文化や宗教的価値観が近いのも、来日動機の1つの要素です。親日意識が高いため、職場や地域社会への適応力も高いという利点があります。
5. 日本の技術を学びたいと考えている
日本の製造業やIT分野の高度な技術を身につけることを目標に来日する外国人が多いです。とくにベトナムやインドネシアの若者は、最新ノウハウを習得し、帰国後のキャリア形成や起業を目指しています。
日本企業での勤務経験を母国での内製化や産業振興に活かしたいというニーズが強いのが特徴です。IT・ものづくり分野では、日本の品質管理手法や設備運用、安全衛生といった知識が重要視されています。
来日することで、自らの専門性を高めグローバル人材として活躍したい意欲も強いです。ITや製造業の現場で特に目立っています。
外国人労働者の国別ランキングのまとめ
本記事では、2025年最新の外国人労働者の国別ランキングや在留資格別・業種別の詳細な動向を包括的に解説してきました。ベトナムが57万人超で第1位となり、中国やフィリピンが続く形となっており、とくにベトナムの存在感が年々高まっています。
在留資格別では専門職・技術職でベトナムと中国が上位を占め、技能実習制度ではベトナムが約半数を占める圧倒的な存在となっています。業種別では製造業やサービス業、卸売・小売業が外国人労働者の主要な受け入れ分野です。
外国人労働者の雇用を検討している場合、自社の業界特性と必要な在留資格に応じて、採用するかを決めるのがおすすめです。製造業であればベトナムや中国、医療・福祉分野であればフィリピン出身の人材が豊富である点を踏まえ、採用戦略を立案しましょう。
各国の文化的背景や来日動機、在留資格の特徴を理解すれば、より効果的な外国人雇用と職場環境の整備が可能になります。ぜひ本記事で紹介した最新データと傾向分析を元に、どの国の外国人労働者を採用するか参考にしてください。